支える側の気持ち
立場によって苦しみや辛さは違う。
例え立場は同じでも人によって感じ方も違う。
私は先立たれ遺された立場。
自分の苦しみ辛さはわかるけど、私を支える家族のそれぞれの苦しみ辛さはわからない。
彼と私の妹と妹の旦那と四人で食事をしたことがある。
妹には歴代彼氏を大体紹介してきた。
彼は無口な人で、おべっかが苦手なタイプだったから、同じく無口な妹は彼とは合わないんじゃないかなーと思ったりしていた。
そんな妹が食事の後、
『お姉ちゃん、私、あの人にお兄さんになってほしい。すごくかっこいい人だ』と言った。
お世辞にも彼は世に言うイケメンなタイプではない。妹と会話をしたのもほんの二言三言だ。
『お姉ちゃんのことを本当に大事にしているのがすごく伝わってきた』らしい。
妹の見解が全てではないけど、その言葉を聞いて私はとても幸せな気分になった。
彼がいなくなったとき、妹は妊娠していた。ショックを受けてお腹の子どもに影響したらダメだと思い、無事に生まれるまで妹には彼が亡くなったことを言えなかった。
子どもが生まれて少ししてから、母親が伝えたらしい。
その時妹は驚くほど泣いたそうだ。
お姉ちゃんがかわいそうだと。
『彼のことはとても素敵な方だったと思う。こんなことを言うとお姉ちゃんは怒るかもしれないけれど、今、私は彼に対して怒りの気持ちが出てきてしまう。なんでお姉ちゃんに辛い思いをさせるんだ。』そう言いながら、号泣したと聞いた。
それが私側の家族のひとつの想いなのだろう。
当時それを聞いてどう思ったかは忘れた。しかし、私が妹の立場でも同じような気持ちになるかもしれない。
大切な人を自死という形で亡くした側。それを支える側。
支える側の人は、何も言わないでほしい。優しさだと思って発するその言葉が遺された側の傷をえぐる場合もある。何も言わず、ただ、いつでも話を聞くよというスタンスでいてほしいと思う。でも、周りも周りで、早く元気になってほしいと思うだろう。なかなか難しい問題だと思う。
今でこそ、多少冷静に考えれたりするが、やはり傷つくことはたくさんある。家族はいつまでも過去にとどまって欲しくないと思っているから当然なのだけど、ワガママかもしれないけれど、もう少し理解をしてほしいと思う。
気持ちを分かれとはもう言わない。ただ、腫れ物を触るような扱いも嫌だし、普通にされたらされたで彼のことを忘れられたような気持ちになってしまうのだ。
遺された側には支える側の気持ちまで考える余裕なんかない。そこまで器用に考え接することができればいいのだろうけど、できないんだよ。
親でさえ、祖母でさえ、自死という形で大切な人を亡くした経験がないわけだから、我が娘、孫にどう接すればいいのか分からないと言った感じだ。
ただ、ほんの少しもう少しだけ、複雑なこの思いを理解してほしいと思ってしまう。