生きたくても生きれない人もいる
世の中には、生きたくても生きれない人だっているんだよ!
題したこの言葉も、耳が腐るほど言われました。
そりゃその通りですと思いますよ。
だけど、私は、この言葉を発する人が嫌いです。
最近、私が10年以上仲良くしてもらってるご夫婦に紹介されて、そのご夫婦共々よくお酒を酌み交わすようになった方がいます。
その方は余命宣告されているガン患者さんです。
少し前まで人工肛門でした。指先は真っ黒。
そして、またもう少ししたら入院することが決まっています。
だからなんだと言わんばかりにその方は毎日飲み歩いてらっしゃいます。だからこそ、私はその方と出会うことができました。普通の飲み仲間です。
そのご夫婦も私も、彼が誰よりも早いピッチでお酒を飲むことを止めませんし咎めません。彼が末期ガンでお酒を控えなきゃいけないことは周知の事実です。
それでも、そのご夫婦は頻繁に彼を飲みに誘います。自分たちが住んでる場所まで呼び出しちゃいます。
そして、そのことを彼自身はとても喜んでいます。
先日、いつものようにみんなで飲んでいて、お酒も深くなってきた頃、何の気なしに彼が言った言葉が忘れられません。
『こうして僕をバンバン連れ出して飲みに誘ってくれることに本当に感謝しています。ありがとうございます』
飲んでる時の会話はいつも、今度行きたい飲み屋があるんですよー!今度は僕の地元の方で飲みましょうよー!と、次はどこに飲みに行こうかって話が大半です。
彼は本当にお酒が大好きなんだろうなーって思いながら、そんな彼の生き方に自暴自棄加減は微塵も感じません。本当に日々を楽しんで過ごしているのが伝わります。彼の本当の心の奥底までは分からないけれど。
正論だけを振りかざすことが、必ずしも誰かを救うことになるわけではないと思うんです。
生きることに真面目すぎるから鬱になるんです。そして、死にたくなる病気なんです、鬱病は。
生きたくても生きれない人もいるんだよ!
なんて盲目的な表面的な言葉。ウンザリです。
自分のすぐ隣で泣いてる人がいるのに、その泣いてる人の横で世界平和を叫んでるくらい、滑稽に思えます。
宝くじが外れて悔しがってる人に対して、宝くじが買えない人だっているんだよ!って言ってみてほしい。