出生前診断
突然、彼が出生前診断についてどう思うかを私に訪ねてきたことがあった。
彼がいなくなってしまう2ヶ月くらい前のことだったと思う。
私は突然の質問の意図が分からず、どうゆうこと??と聞き返した。
子どもができたら出世前診断をすることに賛成か反対か、診断したとして子どもの遺伝子に何かしらの問題があった場合、産むか産まないか、ということだった。
私はそんなことを考えたことがなかったので、彼からのその質問にとても驚いた。
私は考えがまとまらないまま、彼に返答した。
もし、出生前診断をしたとして、子どもの遺伝子に何らかの問題があると分かったとして、私は、それを理由に中絶を決めることはできないと思う。
そう答えた。
彼は、うーん、、と唸った。そして、こう言ったのだ。
『それで生まれてきた子どもは幸せなのかな?』
私は、彼のその言葉の意味が分からなくて、また更に聞いた。どうゆう意味?と。
『親はダウン症の子どもを見て、その子がいつも笑ってるからって幸せだって言うけどさ、それって親のエゴじゃね?子どもがどう感じているかなんて、分かるわけないじゃん』
彼はそんなことを言った。
それが私には物凄く冷たい物言いに聞こえてしまって、
『そんなことわたしにも分からんよ。』
と、シャットダウンしてしまった。
彼は、本当は、何が言いたかったんだろう。
彼がいなくなってから考えた。
私は、親目線で考えてたけど、彼は生まれてきた子ども目線で考えていたのかな。
子どもが健康で生まれてこようがそうじゃなかろうが、結局、子どもを産むという行為自体が親のエゴなのではないだろうかって言いたかったのかなぁって。
彼は、生まれてきたことを後悔していたのかなぁ。生まれなきゃよかったって、そう思ってしまってたのかな。
なんでその時にもっと掘り下げて彼とそのことについて話をしなかったんだろうと思う。
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